電子書籍を無料で自作する場合、以前までは「EPUB電子書籍作成ソフト Sigil(シジル)」を使うのが一般的でした。現在も書店に並んでいる電子書籍の作り方の本の中には、「Sigil」の使い方と共に解説されているものがあります。これには注意が必要です。
EPUB編集ツール「Sigil」が苦境!? いったいどうなるの?
http://densho.hatenablog.com/entry/inactive-sigil
「Sigil」を使ってはいけない、というのはちょっと言い過ぎだったかもしれません。「Sigil」は「EPUB2」しか生成できないので、そのことを理解できていれば、問題はないです。
■「EPUB2」と「EPUB3」の存在
「EPUB2」「EPUB3」というのは、電子書籍の規格です。仕様です。電子書籍として何ができるか? を定めたバージョンです。
ざっくりとした対応表は以下となります。
EPUB2 | EPUB3 | |
仕様制定 | 2007年 | 2011年 |
縦書き | ☓ | ○ |
ルビ | ☓ | ○ |
右開き | ☓ | ○ |
オーディオ | ☓ | ○ |
ビデオ | ☓ | ○ |
Javascript | ☓ | ○ |
音声同期 | ☓ | ○ |
「EPUB2」では静的な文書表現しか対応できていませんでしたが、「EPUB3」では「縦書き」などの日本語的表現にも対応されています。
「Sigil」は「EPUB2」しか生成することはできません。しかし、書籍によっては、「Sigil」で「縦書き」などを実現する解説を行っているものがあります。
それら書籍は現在も流通しているので、注意が必要です。
■間違った例、書籍編
電子書籍でベストセラー作家になろう Kindleセルフパブリッシング入門
上記の書籍では、「Sigil」による「縦書き」実現を解説していますが、「縦書き」は「EPUB3」での機能です。この書籍の通りに「Sigil」で「縦書き」の「EPUB2」を生成することは可能ですが、「電子書籍チェッカー」で「100%エラー」になります。
これは当然です、「EPUB2」では「縦書き」は未対応なのですから。電子書籍の不正をチェックする代表的なサイトは以下です。
EPUB Validator (beta)
http://validator.idpf.org/
この「エラー」を含んだ状態でも、KDPであれば現在は出版が可能ですので、問題を埋没化させてしまっているといえます。エラーを含んだ電子書籍を流通させることで、どんな不具合を起こしてしまうか分かりません。
当然のことですが、エラーのない、上記のチェッカーを通るものを出版することを心掛けてください。そもそも、KDP以外の多くの出版サイトでは、エラーの含まれる電子書籍は、出版NGとなります。
■間違った例、サイト編
以下のサイトでは、「でんでんコンバーター」で「EPUB3」を生成したあとに、「EPUB2」を生成する「Sigil」を用いてその「EPUB3」を編集しようとしています、これは大変な問題です。
電子書籍の作り方
http://novelu.com/ebook_howtomake/
「Sigil」は「EPUB2」しか生成できませんので、「でんでんコンバーター」で作成した「EPUB3」が強制的に「EPUB2」に書き換えられてしまいます。もちろん、この電子書籍はエラーだらけになります。
EPUB Validator (beta)
http://validator.idpf.org/
■日本の電子書籍市場の主流は「EPUB3」
「Sigil」のHPを見れば分かるように、これは海外のツールです。海外の電子書籍市場は主流が「EPUB2」である為、「Sigil」で電子書籍を作成することに現状は支障がないと思います。
しかし、日本の電子書籍市場の主流は、「EPUB3」です。多くの出版サイトが「EPUB3」を前提にしていますので、「Sigil」を使い続けることは日本では不利で、メリットが無いと言えます。
何より、「Sigil」の開発は、停滞しています。
Sigil’s Spiritual Successor
http://sigildev.blogspot.jp/2014/02/sigils-spiritual-successor.html
この時点で、Sigilは、もはや積極的に開発されていない。 GitHubのに開発を移動すると、いくつかの貢献を相殺しかし、彼らは1トレードオフとかなり小さかったしました。Sigilの開発が停止した状態で、(Calibreの)Kovid氏は、完全なエディタにCalibreの微調整EPUB機能を作り始める。
すべてではない(まだ)、Sigilに存在していることけれども、この時点でのCalibreのエディタは、安定しており、機能の多くを持っています。Sigilと同じように、Calibreのエディタはオープンソースであり、Sigilとは違って積極的に開発されています。私はかなりの時間がKovid氏を知っていた(Calibreが)と私は、Calibreのエディタが進むべき道であると確信しています。
Sigilを使用している人々のために、限り、それはあなたのために働くようにそれを使用してください。あなたはそれがあなたのニーズを満たしていないのFind場合、またはそこにある他に何見たい場合、私はCalibreのエディタをチェックアウトをお勧めします。それはSigilのコードのいずれかを使用していませんが、私はそれSigilの精神的な後継者を検討してください。
(Google翻訳)
英語を読んだ方が分かりやすいかもしれませんが、じゃあ「Calibre(キャリバー)」ってのを使えば良いんじゃないの? と思われるかもしれません。しかし、「Calibre」も「EPUB2」しか作成できません。日本の電子書籍市場で使うべきではないでしょう。
HonYeah!で購入(¥490 2% OFF)
Google Play Booksで購入(¥500)
Amazonで購入(¥500)
「電子書籍の作り方」と「KDPでの出版の仕方」を丁寧に解説した電子書籍を、平成26年4月30日にリリースしました。Windows標準アクセサリ「メモ帳」と無料ツールを駆使して、「出版コスト0円」も徹底しています。
・最適な挿入画像のサイズは?
・ロイヤリティー受け取りの手数料は?
など、ハマりやすい具体的な数値も余すこと無く解説しています。まずはサンプルだけでもお試しください。疑問点・改善点を戴ければフィードバックし積極的に改版します。
(平成26年4月23日 アシベズヘア@ashibehair_m/note)
ピンバック: 「epubcheck」の使い方 ←「10MB」を超える電子書籍(EPUB)の不正チェックを行う方法 | materialize.jp
大変役に立つ内容で感謝します。
ご指摘の通り、間違った情報が多いです。
SigilのEPUB3対応状況ですが、
audio videoについては現在は対応しているようです:
http://web.sigil.googlecode.com/git/files/OEBPS/Text/media_files.html
An answer from an expert! Thanks for cougbirntint.