梅雨明けたから読書感想文『トパーズ/村上龍』


Topaz / Ryu Murakami

主人公はコールガールの女の子。憧れて止まないある男と街ですれ違い、女の子はその男の影を追っていく――自分は男だし、職業も会社員が長かったし、環境で共通する点はまったく無いのだが、何度となく繰り返しこの作品を読んでしまう。

共通点を無理やり見つけようとしても、それは言葉にすることが難しくて、ただひとつ言えるのは、誰しもが誰かに憧れを抱いて生きてきたということだ。親、兄弟、親戚、先輩、友人、知人、著名な有名人。それは目標であったり、自分自身の存在の確認だったりする。自分の身近な人たちに関わりを求めるのは、どこかその人たちへの憧れもあるのだと思う。憧れているからこそ、自分はこうなんだと主張したくて、そしてとにかく認められたい。自分はこうしてここに生きているんだということを、自分が憧れた人たちに認知してほしい。手の届かないところへ行ってしまった想い人に対しては、この女の子のように、残り香を求めてしまう。憧れの人の癖や仕草を真似してみたり、愛用していた物を自分もその手に得てみたり。学生の頃、憧れて仕方がなかった同級生の女の子が、一切、えんぴつを使わずに、ボールペンで一筆入魂していた姿がどうしても忘れられなくて、私もそれからずっとボールペンでしか筆を執らない。人はみな、ハッキリと形を心に描けていなくても、常に誰かに憧れていて、その人に追いつくか、振り向いてもらうかを、モチベーションに生きているのかもしれない。


トパーズ (角川文庫)
風俗嬢…。高層ホテルの窓ガラスに裸の胸を押しつけ、トパーズの指輪を見つめ、大理石のロビーを彼女たちは行く。そして、都市の光景を、サディズムとマゾヒズムの接点を行き交いながら感じる。この瞬間にも東京と混じり、そして疾走する女たちを村上龍はとらえた。

(平成26年7月25日 アシベズヘア@ashibehair_mfacebooknoteSUZURI

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